講師対談

講師対談

建築系の学校に通い、設計の仕事をめざす人は多い。
しかし実務の現場からは、
そこでの教育内容に疑問を持つ声も出ている。
今回は、建築家で設計アトリエ代表の
内藤弘文氏をゲストに招き、
建築業界で本当に求められる人材を
どう教育・育成するかをテーマにアーキカレッジの代表・講師陣と語っていただいた。

華やかなイメージに対する
建築家の現実とは

鶴岡 純平
建築設計の仕事というと、デザインができてかっこいいとか、華やかなイメージを抱いている若い方が多いと思うのですが。
内藤 弘文
現実的には、細かな事務作業とか地味で煩雑な仕事も多いですね。でも、ある種の「かっこよさ」は確かにある世界ですし、その憧れは持っていて欲しい。それが大きなモチベーションにもなりますしね。
千葉 理恵
内藤先生は設計アトリエを長年営まれ、また建築設計の専門学校講師もされていらっしゃいますよね。生徒に、そういった憧れを抱かせつつ、地味な作業も重要なんだよ、というのをどう教えていらっしゃるのですか?
内藤
確かに憧れだけで学校に来ている方もいます。ですから皆さん初心者だと考え、いきなり難しいことはしません。わかりやすい初歩的なことから教え、徐々に難易度を上げていくようにしています。
千葉
その過程で、かっこいいだけじゃない 世界だと徐々にわかるようになると。
内藤
はい。おっしゃる通りです。
水沼 均
そうですよね。思ったより地味で大変なことも多いけれど、それを乗り越えることで、建築家という目標に向かっているという実感が持てるようになる。夢や憧れを、リアルな実感へと橋渡しすることが、学校や講師の役割だと思いますね。

「学校を出ても使えない」
採用する側のリアルな本音

鶴岡
内藤先生は、長年お一人で設計のお仕事をされてきたとのことですが、若いスタッフを採用されたことはないのでしょうか?例えば、建築学科を卒業された方とか。
内藤
私の場合、ないです。非常に忙しい時は、スタッフに手伝ってもらえたらいいなとは思うのですが…。学生のアルバイトは使ったことがあるけど、大変なんですよね。教えるのに丸一日かかり切りで、夜中になってやっと自分の仕事ができるという感じで。
鶴岡
現実問題として、実務を教える時間的余裕がないということも、お一人でお仕事をされてきた理由ですか?
内藤
正直なところ、それはあります。
千葉
それは建築系の学校の多くが、学問の追求だったり、資格を取ることを目的としてきたことが大きいのではないでしょうか。実務に即するという意味では離れてしまっていた。だからこそ我々は、どれだけ実務に近いことを教えるか、を重要なテーマにしたいと思うんです。

建築家に必要なものは
「もっとよくしたい」と思う志

鶴岡
では、ご自身の経験を通じて、建築家になるために大事なこととは何だと思われますか?
内藤
もちろん知識や経験があることが大事。そして志(こころざし)があるかどうかですね。「もっとよくしよう」という気持ちを持って、新たな建築に向き合っていく姿勢は忘れてはならないと思います。単純な話、同じことを二度も三度も繰り返しても面白くないですしね(笑)
鶴岡
同じことを繰り返さないためには、次々に発想を生み出さなくてはいけないですよね。そのためにも常に色々なものを吸収していくというスタンスも必要かと思うのですが。
内藤
建築家の仕事って、生涯勉強だと思うんです。これだけ知っていればいいっていうのはない訳で。常に貪欲に、知識や経験をインプットすることが必要ですよね。
千葉
なるほど。ただ、同じくインプットをするにしても、その人の人間的土壌というか、感性やイメージする力がなければ次に発展していかないですよね。
内藤
その通りです。想像力があった上で経験を積むのと、想像力がなくて積むのではものすごく成長度合いが違うと思います。

想像する力を養うことの
設計における重要性

水沼
建築の初心者にとって一番難しいのは、図面を見たときに、それが「どういう形の建築物かイメージすること」なんですね。そのイメージ力がないまま、建築の仕事に就いて苦労をする人は少なくないんです。
千葉
そうですよね。今はCAD※で全部できちゃう時代だから。CADに依存して、モノマネの建築で終わってしまうとか。
※CAD(computer aided design)= コンピューターによる設計支援ツールのこと
水沼
まさにそう。図面から、建築物がどんな姿をしているのか想像する。それが、建築的発想の原点だと思うんです。また、例えば「こんな家に住みたい」というお客様がいて、自分ならどのような設計でその思いに応えるか。そんなイメージを頭の中で育てられる想像力、これが重要なんだと思いますね。
千葉
でも、想像力を養うことに時間を費やさない若い方も多いですよね。だからと言って、採用する側がそこから教えるということは現実的ではない。建築の世界に飛び込む前に、そのような訓練の方法を教えてあげることも、これからの学校には必要だと思いますね。

「想像力」と「経験力」を
本校ではどう身につけさせるか

鶴岡
そういった想像力を高めることと、実務の基礎を身につけること。内藤先生はお仕事を通じて体得されてきたのだと思いますが、もし、ご自身の若い頃、その両方を学べる教育環境があったらよかったとは思われますか?
内藤
もちろん思いますね。先ほどのお話にもありましたが、例えば大学で教えることは学問としての建築。卒業して、設計事務所などに入ったとしても線を1本引くところから始まるのが実情だと思います。決して大学教育を否定するのではありませんが、ただ一方で、実務としての建築を教育するというアーキカレッジの考え方は、非常に魅力的だと思います。
鶴岡
では我々は、具体的にどのような方法で、実務的な経験力と想像力に富んだ人材を育成していくべきですかね。
水沼
例えば30人の生徒がいるとして、一方通行的な授業をして身につくほど建築は甘いものではない。まず、わかりやすいところから順番にステップアップしていく。その際、ただ段階を踏めばいいというのではなく「1対1の授業を30回する」という姿勢が大事だと思います。
鶴岡
つまり、マンツーマン的な指導ですよね。
水沼
そうです。常に講師が生徒1人ひとりと向き合い、実務に即した内容を反復的に教える。その過程の中で少しずつ経験力が養われていくことでしょう。同時に、生徒の個性を見ながら教えるので、その人のイマジネーションの芽生えを見つけ、伸ばしていくこともできる。そういったことを通じて「経験力」と「想像力」を身につけることができると考えています。
千葉
想像力を高めるって、つまり脳を開発することだと思うんです。そのために大事なのは、繰り返しデッサンをすること。建築系の大学や専門学校でも一通りは教えますが、身につくまでやっているかというと疑問です。見る力を養い、表現する力を養い、それらが発想する力につながるので、少しずつでも繰り返しデッサンの演習を行うことを重要視しています。
内藤
手を動かすことは、まさしく脳を鍛えることに直結しますからね。

即戦力となる人材育成の場を
どうしてもつくりたかった

鶴岡
学ぶというより、何度も反復的に実践することで身につけてもらう、ということがアーキカレッジの指導の要だと言えますよね。
千葉
そう、実践的なスキルを使えるようになるまで身につける。将来、設計アトリエに就職するにしても、建築会社に就職するにしても、現場ではゼロから教えている余裕などないというのが現実なんです。
内藤
我々の業界における、切実な問題でしょうね。
千葉
だからこそ、卒業した人がすぐに建築設計の現場で活躍できる教育の場を、どうしてもつくりたかった。その思いが、アーキカレッジを創立した一番の理由です。厳しさもある2年間ですが、卒業後にはすぐに活躍できる力が身についているはず。ぜひ志の高い方に門を叩いていただきたいですね。

対談に参加した講師

内藤 弘文
内藤アトリエ一級 建築士事務所代表
内藤 弘文
内藤 弘文
設計学院 アーキカレッジ講師
水沼 均
内藤 弘文
設計学院 アーキカレッジ講師
鶴岡 純平

講師紹介

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